腫瘍や炎症性疾患など器質的な疾患に伴う便秘の可能性をまず除外した後、機能的便秘は次のように分類できます。
病態:大腸の蠕動運動・緊張が低下するために生じます。老人・長期臥床者に多くみられ、腹部膨満などの漠然とした訴えがあります。
処方:厚朴や枳実を含む処方が選択されます。
病態:便意の抑制が続くことで次第に便意が生じなくなり、直腸内に大便が溜まり習慣性の便秘になります。おもに不規則な排便習慣、旅行、運転手、痔疾患などで便意を抑制する人に多くみられます。
処方:大黄を含む処方が選択されます。
病態:大腸が痙攣的に収縮し大便の通過が障害されるために便秘となります。過敏性腸症候群の便秘型に多くみられ、腹痛があり便意は強いが排便が困難あるいは不充分で、残便感の訴えがあります。
処方:腸管の平滑筋を弛緩させる芍薬を含む処方が選択されます。
以上の3つに分類はできるものの、はっきりと分けられなく混在している病態もあります。
そのような場合の処方は、大黄を中心に考えます。
※承気湯類のバリエーション
大承気湯 [ 厚朴、枳実、大黄、芒硝 ]
小承気湯 [ 厚朴、枳実、大黄 ]
桃核承気湯 [ 大黄、甘草、芒硝、桃仁、桂皮 ]
調胃承気湯 [ 大黄、甘草、芒硝 ]
大黄甘草湯 [ 大黄、甘草 ]
腹満があるときは厚朴・枳実を含む処方を用います。また、大黄や芒硝が入ると強力になります。
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