総アルカロイド(エフェドリン類)含量安定確保のために
麻黄配合漢方エキス製剤においては、麻黄の主成分であるエフェドリン類含量を安定確保することが一定の臨床効果を得るための重要な課題であると考えられています。
クラシエでは、日本薬局方で規定された3種の麻黄のうちエフェドリン含量の一定したE.sinicaを厳選して使用することにより成分含量の安定確保を図っています。そのために、産地調査や理化学分析、DNA解析などの各種品質試験を行い、基原を特定しています。
E.sinica Stapf(草麻黄)
麻黄はマオウ科(Ephedraceae)のマオウ(Ephedra)属植物で、日本薬局方では、その基原を「E.sinica Stapf(中国名:草麻黄)、E.equisetina Bunge(中国名:木賊麻黄)及びE.intermedia Schrenk et C.A.Meyer(中国名:中麻黄)の3種の地上茎で、総アルカロイド(エフェドリンおよびプソイドエフェドリン)を0.7%以上含む」と規定しています。
これら3種の植物の外部形態は類似しておりますが、 花の形状に特徴があることから、開花期には識別が容易になります。
クラシエでは開花期に産地調査を行い、基原植物の確認をする一方、理化学分析、組織形態学的検討およびDNA解析などの手段も併用して品質確保に努めています。また、地上部とは含有成分の異なる地下部や他の植物(イネ科植物等)などの異物混入にも留意し、厳選された原料を使用しています。
麻黄は数種のエフェドリン類を含有し、その中でも含量の高いエフェドリンとプソイドエフェドリンの薬理作用が漢方処方の効果に大きく関与すると考えられています。
クラシエの医療用漢方製剤は、麻黄の発表作用(発汗作用)に重点を置き、その作用への関与が大きいと考えられるエフェドリンの薬理作用を重視しています。
麻黄のエフェドリン類含有様式は一定ではありません。 HPLC分析例では、それぞれの基原植物の代表的なクロマトグラムを示しています。基原植物や生育条件の違いによりエフェドリン類の含量比率に大きな差が認められています。
E.sinica Stapf の分布
クラシエでは中国各地で自生および栽培される麻黄の基原やエフェドリン含量に関する現地調査結果などから、内蒙古自治区東部を中心に分布するE.sinicaはエフェドリン高含量タイプ(エフェドリン含量>プソイドエフェドリン含量)であることを認めています。産地を内蒙古自治区に指定し、基原を特定することにより、 エフェドリン類含量比率の安定した麻黄を確保しています。
麻黄配合量 (g/1日量) |
エフェドリン類含量(mg/日) | 合計 | ||
---|---|---|---|---|
エフェドリン | プソイドエフェドリン | |||
麻黄湯 | 5 | 17.3 | 6.0 | 23.3 |
葛根湯 | 4 | 16.4 | 5.7 | 22.1 |
小青竜湯 | 3 | 14.4 | 4.8 | 19.2 |
当社研究所実測値
クラシエでは、エキス製剤を標準湯剤に近づけるよう生薬の選定から製品の製造に至るまで日々研究を重ねています。漢方薬の多くは元来土瓶で生薬を煮出して服用する湯剤でしたが、現在では利便性からエキス製剤が頻用されています。エキス製剤の工業生産では一度に大量の生薬(通常、土瓶抽出時の5,000~10,000倍量)から成分を抽出し、固液分離・濃縮・乾燥の工程を経て製造されます。製造規模が異なると熱効率や攪拌効率など各種条件が変化するため、それぞれの工程で様々な工夫をしなければ土瓶抽出の湯剤とは成分の異なったエキス製剤が製造される可能性があります。クラシエでは湯剤と同等のエキス製剤の製造を目指し、それぞれの処方特性に応じて抽出や濃縮などの工程で成分の安定確保のために独自の工程管理をしています。
下図は、代表的な麻黄配合処方である葛根湯を例にとり、生薬(麻黄)とエキス粉末、湯剤でパターン分析を行い、指標成分の1つであるエフェドリン類含量を比較した結果です。いずれのデータでもエフェドリンとプソイドエフェドリンの含量割合が同一パターン(エフェドリン量>プソイドエフェドリン量)で示されています。
クラシエの漢方
の取り組み
品質管理への取り組み
(QUALITY CONTROL)
KB2スティック コンプライアンス向上への取り組み
漢方薬の上手な飲み方