花粉症の発生は30年位前の高度成長時代を機に登場した病気で、この時期を境に環境破壊、食生活の変化、運動不足、睡眠不足、ストレスの過多、冷房や冷たいものの取りすぎなど、食べ物や環境の変化によるいわば現代病です。ところが2000年前に完成された漢方処方が現代病である花粉症に効果を発揮するかどうか、疑問に思うかもしれません。
生体内に外来物質が体に侵入してきたとき生体防御反応が生じてその侵入を阻止しながら外来物質を処理します。このとき、外来物質の大きさが関係し、生体防御反応はその大きさに応じて反応に違いが生じます。
花粉とウイルスはほぼ同じサイズのため、同様の生体防御反応として現れます。例えば鼻水や鼻づまりなどは花粉症もウイルス感染症も同じ反応を示します。実際に患者は「風邪を引いているのか花粉症かわからないのだけれども・・・」と言います。したがって花粉症の症状は咽頭痛や頭痛、微熱など患者に応じて風邪の症状が多様に生じることになります。
人類の持つ生体防御反応は進化の過程で身につけたものであり、最も単純な食細胞からリンパ球までを備えるまでとなりました。今後、人類が宇宙生活を営むなど大きな変化が訪れない限りは、2000年前と生体防御反応は大きく変化がないため、過去の漢方薬が将来にわたって使用できることになります。
科学的分析が困難であった漢方医学では人間をブラックボックスとして考え、アウトプット(出てくる症状)に注目して処方を考えてきました。一方、分析に重点をおく西洋医学ではインプット(原因物質)に注目してきたわけです。西洋医学では症状の原因が花粉なのかウイルスなのか、まずその原因を分析して診断をした後、花粉症とウイルス感染症では薬が異なることになります。
漢方医学ではアウトプットに応じて感冒の処方など種々の処方が花粉症としての処方として使えることになります。さらに漢方薬は抗アレルギー薬などと異なり服用後に眠気や口腔内の乾燥などが来さないことが特徴です。
以下に各処方の使い方を示します。
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